「幽霊の存在なんて見たことない人には信じられないだろうねえ。」とよく言われますが、実際その通りなんでしょうね。たとえその存在を信じていたとしても、友人から幽霊を見たッ、なんて言われたところで、「目の錯覚だろう。」とか「きっと夢だよ。」とか「寝ぼけてたんじゃないの?」で済まされてしまうんではないかな。
ところで、あなたは幽霊を見たことがありますか? 実は僕はあるんですよ! 「見た」ことを友達に言っても、笑われるだけでぜんぜん相手にされなかったクヤシイ経験があります。ちょっとばかり、僕の幽霊見参記を書いてみましょう。
幽霊を見た!という人の話を聞くと、たいてい物音や人気(ひとけ)のない真夜中であることが多いですよね。でも僕が初めて幽霊を見たのは天気のよい、爽やかな朝だったんですよ。しかも友人が隣にいたし。
昭和60年、僕が予備校生2年生の時。梅雨の頃でしたが、その日は爽やかな晴天でした。当時僕は北九州予備校に通っていましたが、あの頃は国鉄小倉駅から予備校まで、歩いて20分くらいの距離がありました。
その日は予備校の後輩(?)の正(しょう)ちゃんと一緒に予備校に向かっていました。(懐かしいなあ。元気かなあ。)僕らが通学路(笑)にしていた道の途中に、市立病院裏手の駐車場と木のうっそうと茂ったしなびた神社にはさまれた小道があったんです。天気のよい日でも、少しばかり陰気な感じのする場所でしたねえ。その駐車場というのは、確か霊柩車が出入りする門でもありましたからね。
正ちゃんとその道に通りかかった時、ふと目を前方にやると、ほんの4〜5m先をピンク色のガウンみたいなもので全身を包んだ初老のオジさんが、僕らの目の前を横切って、向かって左側にある病院の駐車場に入って行ったのです。今でも鮮明にその姿を覚えていますよ。丸顔でメガネをかけて、白髪頭のてっぺんは禿げていて、左手に小さな荷物を持っていました。顔をやや左下に向けて(考え事をしている感じで、少し首を傾けているように見えました。)首から下は靴が見えないくらい丈の長い、鮮やかなピンク色のガウンみたいなものを着て、それをひらひらさせながら僕の目の前を横切って行ったんです。
あっ、頭のオカシイじじいがいるっ! 僕は嬉しかったんですねえ。からかってやろうと(僕は若かった!)正ちゃんとの話を途中でやめて、駐車場の門の所まで走り出したんです。その間、数秒。ところが門から広い駐車場をのぞいて見ても誰もいませんでした。車も数台しかありませんでしたし、見晴しはよかったですからねえ。あれ? おかしいナ? と悩んでいると、後ろから正ちゃんが来て、『先輩(笑)!どうしたんですか?』って聞かれました。『正ちゃん、見たやろ。ついさっき変なじいさんがここに入っていったよねえ。』『見えなかったッスよ。』『ウソだ!入っていったやん!』 彼には見えていなかったのでした。『これが幽霊かっ!』僕は興奮しましたね。それと全然怖くなかった。
予備校についてから、教室の中で先ほどの出来事をみんなに話したけれど、誰も笑うだけで本気にしよらん。『ウソじゃねえよ! 見たんだって!』と力説すればするほど相手にされませんでしたねえ。アイツは勉強のしすぎで頭がオカシくなったか、悪いものでも食べたんだろう、くらいにしか思われなかっただろうなあ。ホントにくやしい。
今、僕は病院の中で仕事をしていますが、病院って「幽霊」が出てもちっともおかしくないですよね。確かに夜の病院はちょっと無気味です。(もう慣れましたけれど.....。) ありがたいことに、最近僕は病院の中では幽霊に一度もお目にかかっていません。でもですね、いろいろなスタッフに話を聞くと、結構目撃談があるんですよ、これが。恐らくそれらをまとめたら『病院の怪談』なんて本が書けるかも知れない。(笑)
もっともっとエピソードを書きたいんですけれど、あなたに笑われてしまうとイヤなのでやめましょう。機会があればご披露しますね。やっぱり怪談は夏がイイかな?