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何気に感銘を受けた言葉



 古今東西、時代を問わず名言格言のたぐいは数々ありますが、日常何気なく見聞きした言葉の中にキラッと光る機智を含んだもの、あるいは感銘深く忘れがたいものってありますねえ。ここでは、そのような言葉のいくつかを私なりの解釈を通して皆様に紹介したいと思います。


その1 どんな人間でも突然襲う激しい便意には勝てない。


 本当に私の友人は一風変わっている者が多くて楽しい。仕事帰りに居酒屋にて親しい仲間と談笑するのが私の数ある楽しみの中の一つだが、先日、仕事帰りに数人の仲間と居酒屋に出向いた時、ビールで乾杯した後に一人の友人がトイレに行くと言って席を立った。『おいおい、もうトイレかよ。』という声を背に彼が残した言葉、それが上の言葉である。その時は何気なく聞き過ごしたが、よくよく考えてみるとこれはなかなか含蓄のある言葉だ。確かに突然に襲ってくる便意ほど厄介なものはない。なぜならそれは基本的に我慢ができないものだからである。いくら肛門に力を入れて歯をくいしばったとしても限界はある。絶対にある。本当に人間の生理現象ってヤツはやっかいだなあ。満員の電車の中、バスの中、見知らぬ土地を旅行している時なんかに予期せず激しい便意が襲ってきたらと思うとゾッとするもんねえ。修行を積んだ名僧でも、素晴らしく腕力に長けた者だってトイレに駆け込みたいだろうし、著名な学者先生だって涙が目ににじむくらいつらい思いをするだろうもんなあ。本当にどんなに強い意志を持った人でも便意にはかなわんわいね。従って私は友人が発したこの言葉は至極名言と思うわけであります。皆さん、いかがでしょうか? 


その2 手を振らずに道を歩く人を見つけるのは宝くじを当てるより難しい。


 これは先日、通勤途中の電車の車内に乗り合わせた女子高生が話していた言葉だ。彼女たちの会話の内容って結構時代を感じさせるものが多いんですよね。だからこんな言葉が出るなんて意外でした。もちろん日頃から彼女たちの会話に聞き耳を立てているわけではないですよ。でも結構大きな声で話しているからイヤでも耳に入ってきてしまうんだなあ、これが。さてさて、この言葉はいつものように職場に向かう電車の中でふっと耳に入ってきたものだけれど、なるほどって思わずうなずいてしまいましたよ。確かに往来を行き来する人たちは振幅の差こそあれみんな手を振っているなあ。その日、仕事を終えて街に出て観察してみたけれど、なるほどなるほど、おっしゃる通り皆の衆は手を振って歩いておりまする。ちなみに僕はわざと手を振らずに歩いてみましたが、なんかぎこちなくて変な調子でした。「手を振らずに道を歩く人を見つけるのは宝くじを当てるより難しい。」うーん、名言!あっぱれ! でも今の高校生って宝くじを買っているの?


その3 4万ハナゲ


 当直明けのある朝、新聞の朝刊に目を通していたら飛び込んできたのがこの『4万ハナゲ』でした。思わず切り抜きして持って帰ってきてしまいました。まずは皆さん、その記事をとくとご覧あれ。


 すごいですよねえ。痛みというものは本来、客観的に他人には伝えにくいものです。つまりどのくらい痛いのかを他人に正確に伝えることは大変難しいのであります。だから我々医者も患者さんの苦しみを完全に理解することはできません。しかし一番小さな痛みの単位が『1ハナゲ』とは恐れいった。この方のお父上は物知りであります。ひょっとすると医学界に新たな旋風が巻き起こるやも知れませんよ。しかも出産の痛みが4万ハナゲだったとは! 分娩室でいきなり妊婦さんから『今の私の痛みは2万5千ハナゲです。』と言われた看護婦さんもさぞやびっくりしたろうなあ。しかし、何よりも感銘を受けたのは、生まれたばかりの息子さんが嫁さんの出産にオロオロする時がきたら『4万ハナゲ』の話をしてあげようという最後のくだりです。それを聞かされた息子は『なんだ。そうか。4万ハナゲかー。』と安堵するでしょうか? 愛する嫁さんが頑張っているこんな時にそんな下らんことを言うな!って言われるのが関の山では? と余計なことをあれこれと考えさせられる名文句(名単位)でありました。